パニック障害について


院長の清水です。

 

パニック障害について説明します。


実は、私も一度だけパニック症状を経験したことがあります。

 

今から20年以上も前、旅行先で、突然不安感に襲われ、冷や汗、動悸、といった症状が出たのです。
その時は、この分野の勉強をそれほどしていなかったので、それが何なのか分からなかったのですが、、、、
もしかすると、初めての海外旅行で極度に緊張していたことも背景にあるのかもしれません。
ですから、パニック障害をお持ちの方は、本当に大変だろうなと感じます。


では、以下に比較的分かり易く書かれ、しかも信頼できる筆者によるパニック障害についての記述を引用します。

●パニック障害
パニック障害という病名は、比較的最近になって作り出された用語である。
1980年代まで、この病名は一般に使用されていなかった。当時の精神医学の教科書を見ても、「パニック障害」という項目はない。

 

それまでパニック障害は、「不安神経症」と呼ばれていた。〜中略〜パニック障害は古くからみられる疾患であり、日本では17世紀において、「驚悸(きょうき)」という病名で、現在のパニック障害に相当する症状の記載がみられる。パニック障害においては、身体的な疾患が存在しないにもかかわらず、突然、動悸、呼吸困難、めまいなどの発作(パニック発作)を繰り返し、これに強い不安、恐怖感を伴う。パニック障害を繰り返して起こすと、次第にまた発作が起きるのではないかという不安が増大し、外出などの行動を制限されることがしばしばみられる。
公式の診断基準においては、パニック発作が繰り返しみられる状態を「パニック障害」と定義している。


パニック発作は、特定の場所や状況で誘発されることが多い。特に電車や飛行機などの乗り物が誘因となることはよくみられる。パニック障害の患者は、発作を起こしやすい状況に対して不安感を持ち、それを避けるようになる。〜中略〜このような状態を「広場恐怖」と呼んでいる。〜中略〜


第一にはパニック障害は身体的な疾患によって引き起こされるものではないという点である。パニック発作の時には、多くの身体的な症状が出現する。
これらは、すべて「心理的」で「一過性」のものであり、その背後に何らかの身体疾患はみられないと認識していないといけない。

パニック発作の症状
動悸、心拍数増加、息切れ、呼吸困難感、胸部の痛み、不快感、めまい、足元のふらつき、顔や体の熱感、悪寒、吐き気、腹痛、下痢、しびれ、発汗、身ぶるい、ふるえ
       
以上、「ビジネスマンの精神科」(岩波明 著 講談社現代新書)より

●パニック障害
パニック障害は、パニック発作(註)を繰り返す急性の不安神経症である。
10歳代後半に発病し、女性は男性のおよそ2倍、生涯有病率は2~3%で広場恐怖に移行するものがある。抗うつ剤、抗不安薬により薬物療法、行動療法を行うと、およそ半数が寛解する。

 

(註)

不安とは主体の対応が決まっていない漠然とした恐れの感情である。
〜中略〜急性に襲ってくる切迫感をともなう短い不安をパニック発作という。動悸、発汗、口渇、頻尿など自律神経症状を呈することがある。
        
以上「精神医学エッセンス」(濱田秀伯 著  弘文堂)より

●パニック障害と歯科治療
パニック障害とは、繰り返し起こる「パニック発作」と、発作が起こることへの「予期不安」、それにともなう「広場恐怖(回避行動」をその特徴とする。


〜中略〜パニック障害はめずらしい病気ではなく、アメリカでは100人に3人の割合で発症すると言われている。従来、過換気症候群、心臓神経症、自律神経失調症なとと言われてきたものの多くがパニック障害に該当する。〜中略〜

 

パニック障害の部分症として歯科治療恐怖症を呈する場合があり〜中略〜歯科治療に関連する予期不安として「歯科治療ユニット(清水註:治療台、治療イス)に座る」ということは逃げ場を失うことになり、歯科治療中に発作が起こったら〜中略〜歯科治療恐怖症には、対人恐怖、赤面恐怖、発汗恐怖などが関連する。
以上、「歯科医に役立つ精神医学」松浦英夫編著 診療新社)